「愛おしき隣人」ロイ・アンダーソン監督作品

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長編デビュー作「スウェーディッシュ・ラブストーリー」が1970年ベルリン国際映画祭で4タイトルを受賞。前作「散歩する惑星」が2000年のカンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞。今作が7年振り4作目の長編映画。この作品もカンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品し大絶賛されたそうです。またコマーシャルの世界でもカンヌ国際広告祭で8度の受賞歴を持つ、スウェーデン巨匠、ロイ・アンダーソン。


淡いモスグリーンを基調とした優しい色合いの映像。少しくぐもったガラス窓(スクリーン)を通して、登場人物の生活を覗き見しているかのような不思議な感覚。


このお話、ストーリーがあるようでないような。北欧のある町の住人たちの哀しくて、ちょっとおかしな日常を少しずつ切り取って、単にうまくつなぎ合わせただけのような映画です。別に、各登場人物達がどこかでリンクして一つの方向に向かって話が進むなんてことは全然ありません。なのに、これが綺麗にまとめられた一つのお話のように見えてくるから不思議です。


ロックスターとの結婚を夢見る少女、「誰も私を理解してくれない」とわめき出し、突然歌いだす女性。自分の仕事に嫌気がさして、患者に強い薬だけを与えるようになった精神科医。上の階の騒音に我慢できずモップで天井を突き上げる男、そしてその様子を近くのビルから眺める別の男。金の無心を続ける息子に困り果てた初老の父親。



この世界の住人たちの姿は、まさに私たちの日常です。「ある、あるこのシチュエーション!」「分かる、分かるよ、その気持ち!」と絶対にどこかで、と言うか、色んなところで思い当たるはず。北欧の人でも、アジア人の私でも感じることや、やってることって、ホント驚くほど人間基本は同じなんだな~と変なところで感心しました。


「今日はついてないことばかり
でも、明日はきっとしあわせ。」



人生、辛いことやうまく行かないことのほうが多い。
それでも、生きていればいつかはいいこともある。
死んでしまったらおしまい。


ところどころに、アメリカや帝国主義世界に対する皮肉がこめられてはいましたが、ほとんどの台詞はとってもストレート。小難しいことは一切なし!


人間のダメダメさにスポットをあてながらも、そこには監督の人間に対する愛情、今はだめでもきっと明日は・・・という風に未来への希望が一貫して強く感じられました。


どこか懐かしく温かい匂いがする、リアルとファンタジーの境界線が微妙な、それがとっても心地よいシンプル・イズ・ザ・ベストな映画でした。

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