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zoom RSS アヒルと鴨のコインロッカー 濱田岳&瑛太〜神様この話だけは見ないでほしい〜

<<   作成日時 : 2007/07/22 00:20   >>

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ボブ・ディランの「風に吹かれて」
僕が唯一歌える英語の曲だ。
引越しの片付けをしながら口ずさんでいた。
「ディランだろ。」
その声に振り返ると、彼が僕の後ろに突っ立ていた。
大きな黒い瞳で、僕をじっと見つめて。
彼は僕に「河崎」だとそう名乗った。
僕の隣人だった。
名前を呼び捨てにしてくれと、その方が親しい感じがしていいだろと言った。


河崎は僕にブーダンから来た留学生の話をした。僕のもう一人の隣人だ。
彼は大切な人を失くしてから、ずっと引きこもっているらしい。
「彼を元気付けてあげたい。」
そう言って、河崎は僕にある話を持ちかけた。


「一緒に本屋を襲わないか。」


「ブータンの彼に、広辞苑をプレゼントしたいんだ。」


「彼は『アヒルと鴨の違いを』知りたがっている。そのために広辞苑が必要なんだ。」
「別に、盗まなくてもいいじゃない。」
僕はお金を貸してあげるとも言った。
だけど、河崎は聞かなかった。
そしてシャローンとマーロンの話を始めた。


シャローンはレンガの壁の五階建てのアパートに住んでいた。
シャローンは窓から激しい雨の降る外を眺めていた。
通りの向こうにずぶぬれの猫がいた。
シャローンはその猫が欲しいとマーロンに言った。
マーロンはシャローンのためにその猫を連れてきた。
だけど、シャローンは言ったのだ。
「私が欲しかったのは、その猫じゃない。雨の中にいた猫なの。」


僕は河崎が何を言いたいのか分からなかった。
河崎はもう一度僕に説明してくれた。
「俺が欲しのは広辞苑だけど、それは『本屋から奪う広辞苑』なんだ。」


そして、僕たちは本屋を襲った。



夢と現実がごちゃまぜになったような、物凄く心地の良い不思議な世界観です。
すぐそこに答えはあるのに、何かが違うと感覚では分かっているのに、それが何なのか分からないもどかしさ。
薄くもやのかかった夢の中にいるような、どこか現実感に欠ける独特な色。
私は始まってすぐからこの世界の虜になってしまいました(笑)
謎の答えを知りたいのに、知りたくないような、夢から醒めてしまいたくないみたいな。


河崎(瑛太)の世界に飛び入り参加した椎名(濱田岳)の視点で、物語りは進んでいきます。
どちらかと言うと大人しい、というかいつもおどおどしてるような男の子。
そんな彼が引越し先で出会ったのが、飄々として掴みどころのないカッコいい河崎。
逃げようとしても、なんとなく逃げ切れず、結局本屋強奪の手伝いをしてしまいます。


いや、普通に考えたらやらないでしょう・・・と冷静に考えたらそう思うのですが、この二人のやりとりを見ていると、椎名なら流されちゃうかもと思えてきます。
というか、河崎マジックにかからない人はいないだろうと。
いつもうま〜く河崎に翻弄され、いつの間にかすべてが河崎の思うままになっている椎名。
その二人の関係がとても自然に見えてしまうのです。


一応ミステリー(一応というのは、この映画は謎解きが主じゃないと感じたので。)ですので、謎があります。
そして、謎解きのパズルのピースがあちこちに散らばっています。
だけど、それを解くことに夢中になることはあまりないんじゃないかな。
それよりも気になるのは、河崎の心。それ自体が確かに謎っぽいんですが。


原作をもし読まれていなかったら、そのまま先に映画を観て、後で原作を読まれることを私はオススメします。
物理的な謎はそんなに難しくはないと思うのですが・・・
答えを知らないで観たほうが、瑛太君の役を思って、余計にグッとくるのではないかと。
知っていたら、それはそれでまた別の楽しみ方が出来るとも思いますけど。


原作者の方が「こんなに良質な映画はそうそうないと思います。」と仰ってますが、私もこの意見には大賛成です♪


登場人物みんなが、それぞれこの映画の大切な主人公。たまたま今回見たのが、椎名を軸に見た物語なんだなと言う感じ。
この中の誰が欠けてもこの物語は成立しないし、また誰を主人公に持ってきても、ちゃんとその別バージョンでひとつの物語が出来上がるはず。
誰かが、誰かに影響を与えながら、与えられながら生きている。
一人で今の自分が作られた訳じゃない。
みんなが誰かの人生にクロスして、誰かの人生を作って、そして背負って生きていく。


ラストシーン、牛タン弁当を食べながら新幹線の中で眠ってしまった椎名のあどけない寝顔。
椎名の人生はこうして続いていくのだと思いました。
たまたま大きな事件に巻き込まれたけど、椎名にとってはそれも一つの通過点にしか過ぎない。けれどそれは同時に、彼の人生に大きな影響を与えるであろう出来事。
ただ、彼の人生はまだまだこれから。
そんな余韻のある、椎名らしいラストシーンでした。



(ここからネタばれ感想です。)
瑛太君がとても素敵でした瑛太君は過去のあるというか、影のあるちょっと変わった人物が似合いますね〜。
この役はまってました。


河崎の着ていたジャケットを着て、タバコの仕草を真似て、彼になりきろうとするドルジ。
「ブーダン人は生まれ変わりを信じるから『死』を恐れたりしない。」
そう言いながら、どうしても受け入れられない河崎の死。
ドルジは河崎を、自分の中に転生させたかったのではないかと思いました。
日本に来て初めて出来た友達。自分の彼女の元カレだけど、文句なくカッコいい河崎に憧れを抱いたのでしょう。


恋人と親友をいっぺんに失ったドルジの選んだ道は、自分が河崎になること。
椎名の前で河崎のフリをしながら、彼は自分と河崎の境界線が段々と曖昧になっていったのではないかと思いました。
その彼の曖昧な存在感が、この映画の世界観を形作ってたんだな〜と、彼の正体が分かったときに妙に納得してしまいました。


松田龍平君も出番は少ないのですが、インパクト大です
これはドルジが崇拝してもおかしくないと思わせてくれます。
「俺を振るヤツは女じゃない。」と豪語してましたが(笑)
いや、こんな男性を捨てるなんて、実際そんな女性がいたら見てみたい。
ホント嫌味なくらいいい男です。でも、そこがいいの〜
ただそこに立ってるだけで、壮絶色っぽい存在自体が犯罪ではないかと思うくらいです。この松田兄のフェロモンは堪りません


ちなみにブーダン人と日本人は顔つきが非常に良く似てるそうです。
知り合いが放浪の旅に出た時に撮ってきてくれた写真や絵葉書を見ると、確かに日本の昔と雰囲気がよく似てると思います。
なんだかどこか懐かしい。
いつか絶対に訪れてみたい国のひとつです。この映画を観て、更にその気持ちが大きくなりました。


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